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史跡から歴史を読み解く!史学科が教室を飛びだしフィールドワーク!

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2024.1.31

史跡から歴史を読み解く!史学科が教室を飛びだしフィールドワーク!

神戸女子大学の学びの特徴のひとつがフィールドワーク。実際に現地に行き、五感全てで学ぶことができます。

今回は史学科が兵庫県高砂市を訪れ、遺跡や古い町並み、出土した土器などを見学するフィールドワークをレポートします!歴史や考古学が好きなみなさん、必見です!

過去を探る!古墳と石塔で名推理!

お天気にも恵まれたこの日、高砂市のJR曽根駅に集合したのは史学科の齋藤先生と学生9名。高砂市教育委員会で勤務されている宮下さんの案内のもと、早速第1の目的地へと出発!

高砂市教育委員会の宮下さん(写真手前)はなんと史学科の卒業生!大学院にも進み、今は考古学のプロフェッショナルです

到着したのは阿弥陀4号墳。

阿弥陀4号墳は横穴式石室という石を積み上げて古墳の側面に入口を設け、亡くなった人を埋葬するところが丸ごと残っている貴重な古墳です。石室の中に入り、大きな石をどうやって積んでいったか実物を観察しながらみんなで推理しました。

播磨地方のなかでも大型の石室で、「この地域でも力を持っていた豪族のお墓なのでは」と推測されているそう。古墳がつくられた年代を割り出すためには、葬られた人と一緒に納められた品(副葬品)から割り出すそうですが、阿弥陀4号墳には副葬品が残っていないために石室の構造から年代を推定した説もあり、阿弥陀4号墳の年代は6世紀だそうです。

続いて古墳近くの共同墓地の奥には巨大な五輪塔が佇んでいました。

地輪・水輪・火輪・風輪・空輪の5つの石が重なった供養塔・お墓を五輪塔と言います。

完存するものとしては県内最古級とのこと。ここで齋藤先生から「丸い石の上にどうやって屋根みたいな石をのせているかわかる?」という問いかけが。

学生たちは考え込むだけではなく、実際に五輪塔の周囲を歩き、時には覗き込みさまざまな箇所に触っていきます。すると、「先生!屋根みたいな石の下の面が、丸に沿うように削られている!」と大発見。
齋藤先生は笑顔で解説を行い、五感全てで学ぶことができるフィールドワークの意義をひとつひとつ学生に伝えていました。

考古学は発掘だけじゃない?探偵のように観察と情報収集

次は宮下さんが勤務されている高砂市教育センターへ。ここには出土品が展示されており、高砂市内の遺跡と出土品について学ぶことができます。教科書などで見る縄文土器にはキレイな文様がありますが、実は関西地方の縄文土器にはあまり装飾がないのだとか。実際に出土品を見ながら解説を聞くとわかりやすく、学生も真剣にメモをとり、土器をスケッチしていました。

解説していただいた内容や目にした貴重な情報を欠かさずメモ。これも史学科で養うことができる能力のひとつ。

続いて整理作業スペースに入らせてもらい、出土した土器を触らせていただきました。小さなカケラから、土器のどの部分にあたり、さらにはどのくらい古いかを特定しなければならないと聞いて、カケラに熱い視線を向ける学生たち。出土したモノの年代を特定するには、これまで出土したモノの中から似たものを探し出したり、一緒に出てきた土器を調べたり、地道な作業が必要と聞いて驚いていました。

実際に土器のカケラと格闘。同じ場所で出土したカケラの中から、パズルのようにくっつくものを探す作業に挑戦です。「もしかしたらこれとこれがくっつくかも!」と夢中で作業を進めていました。宮下さんでさえも、カケラからひとつの土器に戻すまで何日もかかることがあるのだとか。「みんな筋がいいですね」とほめてくださいました!

竜山石の採石場は発見の宝庫!

次は竜山石採石遺跡へ向かいました。

まずは竜山1号墳。7世紀に作られた古墳とのことですが、土を盛ってつくられた古墳の墳丘が失われ、石室((ひつぎ)をおさめるところ)がむき出しになり、石室の中から石棺(遺体を安置するもの)が取り出された状態だったのだとか。

竜山1号墳

昨年度整備工事を行い、石棺が石室の元の位置に戻されたそうです。石棺に対して石室が小さすぎるため、どうやって作ったのかがはっきりわからないそう。いまだに解明されないこの謎を解き明かすのはあなたかもしれません!

そして、山の中を進んでいくと、竜山石の採石場へ到着。巨大な石にクサビを打ち込んだ痕跡を見ることができました。石を切り出すのに失敗した痕も残っていて、大きな石を切り出すのは大変な労力が必要だったのだと、その痕を見るだけでもわかりました。

竜山石の採石場。大きなクサビの痕跡(画像中央)
こんな崖ギリギリの所にもクサビの痕跡が。

工楽松右衛門旧宅と南堀川遺構で近世の高砂を振り返る

最後に向かったのは、江戸時代に海運業や港湾改修で名を馳せた工楽松右衛門の居宅。現在は保存修理工事が行われ一般公開されています。

旧宅のすぐ目の前に発掘調査で見つかった南堀川の船着き場遺構があり、護岸の石垣や、舟から荷物を揚げ降ろしした石階段を見ることができます。ここでも竜山石が使われていて、特徴である赤青黄の3色が映えていました。江戸時代の船着き場遺構が良好な状態で確認されたのは、貴重なのだとか。

南堀川遺構を満喫した学生たちは、工楽松右衛門旧宅に入って近世の海運業や文化に触れました。過去の人がどのように生活してきたのか、それを知るのは考古学で大切なこと。旧宅内を歩き回り、現代の家やモノと比べて、形が同じだったり変わっていたりするのはなぜか考えていました。

1日を通して高砂市の歴史に触れた学生2人に感想を聞いてみました。

「石室を実際に見れたのは本当に貴重な体験。意外と入口が小さいのと、陽の光が全く入らないのにちょっとびっくりしました」

「宮下さんの解説がとても丁寧で聞き入ってしまいました。採石場に行くための山登りも印象的でした!運動は苦手ですけど、こうやって自分の足で見に行くからこそ発見があるのだと実感して、考古学にさらに興味が湧きました!」

フィールドワークは実際に現地に行きホンモノに触れ、五感全てで学ぶことができます。竜山石の質感や、古墳の石室の臨場感、街のつくりや地形など、本を読むだけではわからない発見や疑問がみつかったことでしょう。

そして今回、なかなか入る機会のない古墳の中や発掘後の整理作業スペースまで見られたのも、その分野で活躍する卒業生が多い神戸女子大学ならでは。学科ごとに様々なフィールドワークを実施しているので、ぜひオープンキャンパスで先生や在校生に訪ねてみてくださいね!

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