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「ノートテイカー」として活動する学生を取材してみた。

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2024.2.22

「ノートテイカー」として活動する学生を取材してみた。

多くの方にとって当たり前となっている「音」という情報。神戸女子大学では音から情報を得にくい学生も、その他の学生と同様に講義を受講しています。それを可能にしている要素のひとつがノートテイカーとして活動する学生。講義内容はもちろん、教員の言葉のすべてを記録してその場の空気感をも伝えます。
今回はそんなノートテイカーとして活動する学生の一日を取材しました!

“ひとの耳になる”という難しさ

―ノートテイカーとは―
聴覚障がいを持つ学生が授業に参加できるよう、教員が話す内容やその場で起こっていること『すべて』を文字にして、当該学生に伝える人のこと。

ノートテイカーが講義内で記録する情報は主に下記の2点です。
・教員や学生が話す内容
・音が関わるその場の状況

実際にどのように活動をしているのか取材するために講義にお邪魔しました。

この講義ではノートテイカーの学生2名とノートテイカーから情報を得るYさんが参加しており、先生はYさんの補聴器に直接届く特別なマイクを使用して講義を行っていました。

先生の胸元の黒い端末が専用のマイク

しかし、それでもうまく届かない音がたくさんあるそうで、ノートテイカーが担う役割は重要です。

ノートテイカーの学生は2名体制で活動することが多い

常に音による情報が生まれる講義中は、1人が教室内の状況が伝わるように幅広くノートに書き取り、もう1人が先生の言葉をレジュメに書き込むなど役割分担して臨みます。

講義の中で音から得る情報量はとても多く、ノートテイカーの学生は手を休めることなくノートに情報を書き起こしていきます。なんとその量は講義終盤にはA4用紙10枚になることも。
講義終了後は書き起こした情報をYさんに渡し、筆談や手話を交えて不明点がないか確認し、活動は終了しました。

健聴者は情報を取捨選択してノートをまとめますが、ノートテイカーは講義内の音によるすべての情報を書き取り、その情報を受け取った学生が取捨選択を行うため、取り扱う情報量は膨大になります。その情報量の多さを目の当たりにし、ノートテイカーは生半可な気持ちでは務まらないことを改めて感じました。

なぜノートテイカーに?必須道具や速記のコツを聞いてみた

講義内容を聞き漏らさずにあれだけたくさんの情報を書き起こすには特殊な技術を持っているのでは!?実際にノートテイカーとして活動している3名の学生にお話しを聞いてみることに。

ノートテイカーを始めたきっかけを教えてください。

S.Sさん
「学内の友人から『ノートテイカーの募集が出てるよ』と教えてもらったんです。あるきっかけがあって、高校生の頃に手話を勉強していたことがあったので、少しでも力になれるのならとすぐに応募しました。」

ノートテイカーとして活動するまでには研修などはあるのですか?

S.Sさん
「はじめにノートテイカーとしての注意点や講習を受けました。『講義内容だけでなく、雑談も含めたすべての情報を書くように』といった基本的なルールや、長い単語や繰り返し出てくる単語は記号にして書き留めるといったコツなどを教えてもらいました。」

S.Sさん

C.Sさん
「歴史の講義で『縄文時代』を『“○”にひらがなの“じ”』で表したり『図書館の“図”』を『“□”にカタカナの“ト”』で表記するなど、略や記号は自分なりに工夫していますね。」

『雑談を含めたすべての情報を書く』というのは本当ですか…?自分で書くことを想像すると追いつかない気がして…

C.Sさん
「情報の取捨選択はYさんが自由にできるよう、本当にすべての情報を拾っています。速く書くためには工夫と慣れだと思いますよ。」

Nさん
「講義内容に関連する歌を先生が歌うときがたまにあるけど、歌詞がわかりにくかったりしてちょっと大変だよね。多分、ノートテイカーあるあるです。(笑)」

(写真左から)Nさん、C.Sさん

S.Sさん
「あるあるです!わかります(笑)」

ノートテイカーとして必須の道具や、愛用グッズはありますか?

Nさん
「書いた文字がにじんでしまわないように乾きの早いボールペンと、書き損じを消すことができるフリクションのペンを愛用しています。個人的な書き味のこだわりとしては書きやすく、かすれにくい0.4㎜のものを使用しています。」

Nさん愛用の速乾のボールペンとフリクションペン

S.Sさん
「Yさんは私と同じ史学科の後輩にあたるので、自分が去年受講した講義についてまとめたノートや使用していた参考書に目を通してから臨みます。今年、Yさんが受講する講義と同じ場合は、全体の流れを先に把握できたり、難しく、長い語句をあらかじめ把握できるのでとても役立っています。」

S.Sさんたちが所属している史学科の情報はこちらから

「人のために」の気持ちで自分も成長。前向きに取り組む学生たち。

インタビューの終盤、ノートテイカーとして活動する魅力を聞いてみると次のように答えてくれました。

S.Sさん
「私は情報を人に伝える能力や文章力がついてきたと実感しています。「書く力」が、他人よりも速く、綺麗に、正確にできれば将来の自分のためにもなると思います。ノートテイカーを必要としてくれる人の気持ちにも応えたいですし、今後も前向きに取り組んでいきます!」

C.Sさん
「私は将来は博物館の学芸員になりたいと思っています。そこにはいろんな方が来場されると思うので、ノートテイカーの経験から学んだ“その人の立場に立って考える大切さ”を忘れずに、柔軟な対応ができるようになりたいと思います。」

最後にYさんに対する想いがあれば教えてください。

Nさん
「本当にYさんのことをすごいと思っていて。講義を受けた後に、私たちが書いた情報にも目を通して、必要な部分を自分でもう一度まとめて…ということをすべての講義でやっている。努力していることがわかるから、私もYさんのために頑張りたいと思えますね。」

C.Sさん
「Yさんは学びたいことがあって大学に通っていて、Nさんが話してくれたように努力もすごい。しかも勉強だけじゃなく、服とかメイクも好きで、いつもおしゃれをして楽しんでいるのがわかるんですよね!そんな姿を見ているからYさんの力になりたいと思うし、応援しています。」

ノートテイカーの協力を受けているYさんにも筆談を交えてお話を聞いてみると、
「入学して最初の頃、ノートテイカーさん無しで受けた講義はついていけなかった部分がありました。でも、今は安心して講義を受けることができています。皆さん、事前準備や講義中はとても大変だと思いますが快く引き受けてくださっていることに感謝しています。」と笑顔で教えてくれました。

今回、ノートテイカーの学生への取材を通じて、こんな素敵な学生同士がキャンパスで出会い、ともに目標に向かって学んでいることを一人でも多くの人に知ってもらいたいと強く感じました。これからも神戸女子大学の学生がもつ魅力を取材していく‘’“SHINJO MAGをよろしくお願いします!

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