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神戸女子大学のWebマガジン「シンジョマグ」

自分と向き合い強くなる。学生チャンピオンの強さにクローズアップ

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2024.11.19

自分と向き合い強くなる。学生チャンピオンの強さにクローズアップ

刀を持って斬り合いをする「チャンバラ」。時代劇などでよく見る、刀で斬りあう真剣勝負のことです。ちなみに斬りあうときの音が語源なんだとか。

もちろん、この令和の時代には真剣を使った斬り合いはありませんが、「スポーツチャンバラ」というスポーツ競技があるんです!風船のように空気を入れて形を作る刀は長短さまざまな種類があり、専用の防具を着用して一対一で対戦します。楽しく安全に身体を動かすことができる競技であることから競技人口は幅広く、全国にスポーツチャンバラ協会の都道府県支部があるほどの競技人口を誇ります。

長さも複数ある剣と専用の面、赤いものは盾の役割です。

実は、神戸女子大学にはそのスポーツチャンバラの関西圏の大会ですばらしい成績を収めている学生が!それが、家政学科3回生のFさん。

笑顔が素敵なFさん(写真右)

今回の取材ではスポーツチャンバラの競技に加え、就職活動やアルバイトに励む普段の生活についても聞かせてもらいました。朗らかに笑う普段の表情と、刀を持ったときの凛々しい姿のギャップにも注目です!

まずは実演!刀を振り下ろす凛々しい姿

今回の取材では、「基本動作」と言われる、空手でいうところの「型」のような動きを実演してもらいました。

静かに礼をした後に見えた凛々しい表情は先ほどまでの笑顔のFさんとはまるで別人のよう。

大声を出しながらダン!と力強く踏み込み、ズバッ!と刀を振り下ろすFさん。

正直、あまりの振りの速さに言葉が出ませんでした…。そして、正確に面、胴、足と打ち分けていきます。

ビタッと止まった剣先と、激しく動く髪から躍動感を感じてください!

実演前は「恥ずかしい…」とはにかんでいたFさんですが、刀を握ったあとの集中力と迫力には取材班の空気も一変。本当はこのあと試合形式でFさんに挑んでみようと思っていたのですが、怖くなったので急遽中止にしたのは内緒です。

続けることの大切さを学んだ競技生活

Fさんがスポーツチャンバラを始めたのは小学6年生の頃。仲良しのいとこが先に始めていたのがきっかけだったそうです。それから平日はもちろん学校に通い、土日はスポーツチャンバラの道場で稽古漬けの生活がスタート。中学生になると土日も部活や塾で忙しくなりますが、短時間だけでもスポーツチャンバラの練習に参加していたといいます。

―――その当時の思い出を教えて下さい。

「中学生になって女子の部の大会に出場するようになると、大人とも試合をすることになってまったく勝てなくて…。練習は大変だし、勝つ喜び、楽しさが味わえなくなったのでずっと辞めたいと思っていました。」とFさん。

試合で勝てないと悔しい。なにより楽しい気持ちを味わうことが出来ず、後ろ向きな気持ちを抱えていたという中学時代のFさん。

ただ、そんな中でも練習と大会出場を重ねることで勝つことが増えていくと、実力を認められたのか他の道場の選手から声をかけられることも増え、競技に楽しさを感じるようになったそう。

当時の胸中を打ち明けてくれたFさん

―――そこまで競技を続けられた理由は?

「練習の日は叔母が送迎してくれることになっていたので、やめたいと言い出せなくて(笑)そのまま道場に通い続けていました。理由はなんであれ、嫌だった練習を辞めずに続けてきたことで勝つ喜びに辿り着いたという経験は自分の中でとても大切にしています。」

厳しい練習の成果として勝つ喜びを味わい、また厳しい練習へ。その繰り返しの末、メキメキと頭角を現していったFさんは名立たる強豪と渡り合っていくようになりました。

自分と向き合うなかで見つけたものとは

輝かしい成績を収めたFさんの性格は、実は超がつくほどの負けず嫌い。そしてすごく緊張することも多いそうで、ご本人曰く決して精神的に強いタイプではないそうです。

―――一対一の真剣勝負の競技では、メンタルの強さも大事になりそうですね。

「本当に負けず嫌いなので、ぜっっったいに負けたくないんです!(笑)でも、心のどこかで負けたらどうしようと不安で仕方なくなってしまい…試合直前までドキドキしすぎて心臓が痛くなるくらいです。なんとか緊張をほぐそうと胸をドンドン叩いたり、ストレッチをしてみたり…色々試していましたね。」

どうしても緊張がほぐれず動きが固くなり負けてしまうこともあったそうですが、ひとつ転機が訪れます。

それは、ある試合で試合開始と同時に大きな声を出して相手に向かっていった選手がいたこと。剣道では盛んに大きな声を出して相手に向き合うイメージがありますが、スポーツチャンバラでは大声を出す選手は少ないそうです。その姿を見たFさんは周りを気にすることなく、自分に最も合う方法を試行錯誤していくようになります。

―――試行錯誤した結果はどうでしたか?

「自分と向き合った結果、私の選手としての長所は『相手に負けたくない』という強い気持ちだとわかったんです。その気持ちで大きな声を出し、相手を飲み込んでしまうぐらい気迫を全面に押し出すスタイルが自分には合っていました。試合直前まで緊張するのは変わりませんが(笑)、試合開始と同時に声を出すことで気持ちが入り、目の前の相手に集中できるんです。」

自分と向き合い、自分の強みを理解し、それを活かす方法を見つけ出したFさんは2022年には第8回近畿学生大会グランドチャンピオン、2023年には第16回関西北陸学生大会グランドチャンピオンというすばらしい成績を収めました。

競技者ではない時間も大切に。将来に向けて充実の毎日

そんなFさんのキャンパスライフはというと、大学3回生として毎日の講義や就職活動、そしてスキマ時間には有名ライフスタイルショップでのアルバイトなど大忙しの日々。そんな充実した毎日の至るところに大学での学びや競技を通して得た経験が活かされているといいます。

―――具体的に役に立ったことを教えてください。

「所属する家政学科では衣食住に関することを学んでいて、アルバイト先の業務ですごく役立っています!住空間について学ぶ講義のおかげでお客様の動線を考えた商品配列を考えてみたり、裁縫などの実習もあってミシンを使えるようになったので、衣服の裾上げも任せてもらっています。」

アルバイトでは任せてもらえる仕事が増えるたび、社員の方から信頼されていることが感じられ、どんどんやりがいを持って働くことができているそう。これも、競技で培った自分の強みを理解し、活かすことができているからこそ社員の方からの信頼につながっているのだろうと感じました。

素敵な雰囲気でこちらまで笑顔にしてくれたFさんは接客・販売業を中心に就職活動中とのこと。アルバイト先のライフスタイルショップに早期エントリーしたり、いろいろな企業のインターンシップに参加したりと積極的に動き始めているそうです。スポーツチャンバラを通して得た経験や自分と向き合う力は、どんな道に進んでもきっと生かされるはず。これからのFさんの活躍が楽しみです!

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