特集
4383
2023.1.6
衣・食・住にまつわる幅広い学びを通じて、さまざまな人びとの暮らしを科学・デザインする家政学科。ファッション、インテリア、金融など多様な将来像が描けるなか、小さい頃からの夢であった家庭科教員への道を選んだ学生に、学科での学びや就職までの道のりについて伺いました。
――入学時から先生を目指していたそうですね。何かきっかけがあったのですか。
高校生の頃、ある出来事が原因で少し落ち込んでしまう時期があったんですが、そのときに支えてくれたのが担任の先生でした。私のことを信じ、常に味方でいてくれて、とても心強かったことを覚えています。その先生は、学校行事でいつも一番に動いて生徒を引っ張ってくれる存在で、クラスに良い雰囲気をつくってくれていました。この先生との出会いが、私が教師という道を考え始めたきっかけですね。生徒のことを一番に考えて行動する姿は、今でも目標とする教師像のひとつです。
――いろいろな教科があるなかで、家庭科を選んだのはなぜですか?
小学校で家庭科クラブに入るほど、昔から裁縫やファッションが好きだったので、家庭科の教師になればずっと好きなことを学び続けられると思いました。あと、家庭科では正解がひとつではないことが多く、いろいろな可能性が開かれているところも魅力ですね。
――シンジョに進学したのは、家庭科教員の合格実績の高さが決め手ですか?
そうですね。また、同じ夢をもつ仲間が多くいる環境も魅力的でした。オープンキャンパスに参加したとき、先生方や在校生の先輩たちの雰囲気が自分に合っているなと感じたことも、シンジョに入学することを決めた理由の一つです。
――先生を目指す学びのなかで特に印象に残っている科目はありますか?
学校で募集しているボランティア活動のうち、15個を選び参加する「地域学習」の授業が印象的でした。私は「将来、生徒を指導するときに役立つ経験がしたい」と思い、子どもと関わる活動を中心に参加しました。たとえば、児童館で子どもたちに勉強を教えたり、マラソン大会の準備を手伝ったりしたこともあります。また、大阪府の小学校の教室を借りて運営している子ども食堂のボランティアには、今でも月に1、2回参加しています。
――子ども食堂では、どのような活動をされていたのですか?
ごはんの配膳はもちろん、子どもたちに勉強を教えたり一緒に遊んだり。あとは、保護者の方のお話を聞くこともあります。悩みを抱えている場合には、なるべく寄り添ってお話を聞くようにしています。少しは気持ちを和らげることができていれば嬉しいですね。毎月参加してくれる子もいて、今ではすっかり顔なじみになりました。喜んでくれる子どもたちの表情を見ると、力が湧いてきます!
――実際に地域学習の現場に出たことで得られた学びはありましたか?
はい。たとえば子どもたちが喧嘩をしたとき、以前はただ行動を止めるだけしかできませんでした。でも今は当事者同士の意見を聞いて、話し合いのなかで解決策を探るようにしています。子どもたち自身もしっかりと考える機会をもてるようになっていますし、子どもたちと一緒に自分自身の成長も感じます。
――一つひとつの経験が教員の夢につながっているんですね。他に印象に残っている授業はありますか?
子どもたちとの関わり方を学ぶ「教育相談」が印象に残っています。「生徒が応えやすい発問の仕方」など、実践的な手法について学生が主体となって考える授業で、楽しんで受けられました。<発問:授業中に教師が行う意図的な問いかけ(指導言)のこと>
教育実習では、グループワークを取り入れたり「ファッションの持続可能性」をテーマに絵を描いてもらったりなど、授業で学んだ内容を活用できたと思います。
――ファッションの持続可能性とはどんなことですか?
たとえば、ファッション業界では大量生産、大量消費、大量廃棄が当たり前の時代があったんですが、最近では限られた資源を有効に使おうという意識が強くなってきていて。そのために自分たちにできることは何かを考えてもらうんです。環境にやさしい素材を使うとか、着なくなった服をリサイクルするとか、子どもたちも積極的に授業に参加してくれて、「楽しかった!」という言葉を聞くことができました。これから実際に教壇に立ってからも、生徒が楽しいと思える授業を行いたいです。
さまざまな視点で「暮らし」を学ぶ家政学科
少子高齢化や環境問題など社会を取り巻く課題を知り、人びとが安心で快適な暮らしを送れるよう、知識と技術を深める幅広い学びが受けられる。インテリアコーディネーターやファイナンシャル・プランナー、中学・高校教諭一種免許状など、多彩な資格が取得できるのも魅力!
――教員採用試験合格に向けてどのように勉強していましたか?
通学時間をよく利用していました。教員採用試験についてまとめたYouTube動画や、試験対策ができるアプリを活用し、授業や課題制作など忙しいなかでも「通学時間だけは勉強する!」と決めて、隙間時間を効率良く活用できるよう意識して努力を続け、最終的に神戸市と大阪府の両方に合格することができました。
――大変だったことは何ですか?
採用試験対策を始めた頃は、とにかく面接が苦手でした。質問をされても頭が真っ白になって上手く答えられず、不安でいっぱいになったことがあります。でも、教師なるために4年間一生懸命勉強してきたので、諦めたいと思うことはなかったですね。家政学科には不安な気持ちを分かち合える友だちもいて、お互いに励まし合うことができたので、最後まで頑張ることができました。
――大学のサポートではどのようなものを利用しましたか?
教職支援センターの方にもたくさん助けていただきました。気軽に相談しに行ける環境があって良かったです。教員採用試験に向けて週2、3回ほど面接練習をしていただいたことで、場慣れすることができて、自分の考えを話せるようになりました。それだけではなく、話し方や声の出し方など、相手にわかりやすく伝えるための基本的な方法から、より印象的に伝えるための発言の仕方など、自分では気づけなかった点を指摘していただき、本当にありがたかったです。教職支援センターのサポートがあったからこそ、合格できたと言っても過言ではないです!
――実技試験対策はどのようにされましたか?
家政学科は教職支援が手厚く、模擬授業の準備は1回生のときから行っていました。指導案の作成や模擬授業の練習を多く重ねてきたため、試験でも緊張せずに力を発揮できたと思います。それから、裁縫の実技試験ではミニポーチを作ることになっていたんですが、私は昔から裁縫が好きだったので得意だと思っていたんです。でも実際は自己流になっている部分がたくさんあって、試験ではそこが指摘されるかもしれないと分かりました。だから試験の2週間前くらいからは、担当の先生にご指導いただきながら毎日練習をしていました。そのおかげで基礎から見直すことができ、自信につながりましたね。
――最後に、同じように先生を目指す受験生にメッセージをお願いします!
受験勉強や大学に入ってから、たぶん社会に出てからも「つらい」「しんどい」と思うときは誰でもあると思います。そういうときは無理をせず、たまには思いっきり休んでみてください。自分を追い込みすぎず、リラックスして友だちと支え合いながら、諦めずに頑張っていれば報われるときが来ると思います。
2022年11月取材 ※取材時4回生
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