特集
1825
2023.1.6
看護師資格・保健師資格・養護教諭一種免許と3つの資格を取得し、公務員試験にも合格したNさん。卒業後は神戸市の保健師として就職予定です。難関とされる国家資格を3つも取得しようと思った背景には、女性ならではのキャリアの考え方がありました。
――シンジョの看護学科を目指そうと思ったきっかけは?
祖母と叔母が看護師だったこともあり、看護師は身近な職業でした。都心部であるポートアイランドという立地も魅力的で、学業以外でも神戸の街で充実した学生生活を過ごせるのではと思ったんです。シンジョは看護師と保健師、助産師、養護教諭と取得可能な資格が充実しているので、将来の選択肢も広がると思い、入学を決めました。
――実習のときには新型コロナウイルスの影響が大きかったのでは?
そうですね。実習先が医療系の施設になるので実習にはかなり影響がありました。実習で患者さんを担当させていただく予定が、看護師さんの同行のみになったり、病院や医療センターでの臨地実習が学内実習になったりすることもありました。そのような状況でも、先生方のご尽力や実習先の協力によって、さまざまな学びの機会を提供していただきました。たとえば、病院に提供いただいた患者さんの情報を事例に看護ケアや看護師の役割について考え、看護計画を立案しました。ほかにも3回生の夏から冬にかけて小児、母性、急性、慢性の4領域での実習があるのですが、7月の小児の実習は学内実習になりました。それでも、秋以降は状況も落ち着き、病院実習に行くことができ、リハビリに同行したり出産に立ち会ったり、充実した実習経験を重ねることができました。とても忙しく大変でしたが、大学4年間でこの期間が最も成長できた時期だと思います。
――念願の医療現場を体験してみて、何か発見はありましたか?
医療現場には医師や看護師以外にも多くの医療職の方々がいます。薬剤師、管理栄養士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士など、たくさんのスタッフが一人ひとりの患者さんに対して専門分野からアプローチをするのですが、なかでも看護師は患者さんと共有する時間が最も多く、改めてチーム医療になくてはならない存在だと強く認識しました。チームの中心となってほかの職種の方々が専門性を効果的に発揮できるよう、細やかにサポートし、声かけや情報提供を行うことが重要だと気持ちが引き締まりました。
――卒業後は保健師として勤務される予定ですが、入学当初から保健師志望だったのですか?
いえ、入学当初は看護師志望でした。2回生の後半の「老年介護実習」で地域包括ケア病棟を担当したのがきっかけです。急性期の手術を乗り越えたものの、そのまま退院するには不安が残るような患者さんが2ヶ月間入院できる施設です。2ヶ月経ったら必ず退院しないといけないのですが、退院後の生活を心配している患者さんもおられました。そういう方が地域で自分らしく暮らせるようサポートするのが保健師の仕事であり、実習を通して魅力を感じました。3回生の「地域看護活動論」という講義で、患者さんが住み慣れた地域で自分らしく生活し続けることが心身の健康にいかに大切かを学んだことも、想いをより一層強いものにしました。
――実習で患者さんと接するなかで、自分の特性などを理解していったのでしょうか?
それもありますが、シンジョの看護学部の特徴的な授業に「学びのグループゼミ」があり、そこでの経験が大きいと思います。1回生から4回生までのメンバーでグループをつくり、実習での体験を共有し、知識だけではなく感情も含めて学び合います。実習中は不安もあったのですが、些細な悩みを気軽に相談できる場があり、とても安心できました。自分の話を聞いてもらえることも貴重ですが、人の体験やそのときどう感じたかを聞くことで、「自分だったら…」と客観的に自身を振り返ることもできるので、自分の性格や特性に合った選択がスムーズにできるようになったと思います。
講義や学内実習だけじゃない!チーム医療に必要な人間性も育むシンジョの看護学部
専門的な技術や知識はもちろん、看護専門職としての態度や姿勢、患者さんとの関わりやチーム医療で求められるコミュニケーション能力などの力を磨きます。また、キャンパス内には看護師や保健師など国家試験を目指す学生をサポートする「国家試験対策室」も!
――就職活動では保健師に絞って活動されたのですか?
自分は疾患を抱える患者さんの保健指導というよりも、地域や学校で頑張っている人たちの健康をサポートしたいという思いがあったので、産業保健師や養護教諭を目指して就職活動をしました。3回生のときに消防官・警察官になる勉強をしている方の話を聞く機会があったのですが、話を聞くうちに市民のために危険を顧みず頑張っている人の力になりたいと思うようになったんです。そこで警察の保健師になるにはどうしたら良いかを先生に相談しました。すると採用の幅が狭く、新卒では難しいということがわかり、まずは行政で経験を積もうと考えました。兵庫県下の3つの市で保健師の採用試験を受けながら、興味のあった養護教諭の資格取得に向けて教員試験の勉強と教育実習にも行きました。
――看護学科には看護、保健師、養護教諭と3つの免許取得を目指す学生は多いのですか?
保健師と助産師を目指すコースは定員が決まっているので、全体に比べると多くはないですね。看護師と保健師、もしくは看護師と助産師という2つの資格を取得して卒業するパターンが多いです。私の場合は養護教諭の授業もあり、他の学生と比べて授業や実習が多くなったことでくじけそうな時期もありましたが、友人たちと励まし合いながら最後まで粘り強く取り組みました。
――多忙な毎日を送る覚悟で、3つの資格取得を目指したのはなぜですか?
社会に出て働いている自分の姿を想像したとき、女性には結婚や出産といったライフイベントでそれまでの働き方を見直さなければならないタイミングがあると考えていました。そのタイミングで自分に合った働き方ややりがいを選択できる可能性を広げるためには、できる限り資格を取っておきたいと思ったんです。時間のやりくりは大変でしたが、公務員試験前や試験中にキャリアサポートセンターで面接の練習や指導を受けられたのはとても心強かったです。
――将来、どのような保健師になりたいですか?
まずは、行政の保健師として一人ひとりの地域住民と関わり、コミュニケーションを交わしながら相手の個性や価値観について理解を深めていけるようになりたいです。正解を押しつけるのではなく、柔軟な発想でその方が抱える問題を解決に導いていきたいです。自分らしさを活かしながら、初対面の相手に緊張感を抱かせないコミュニケーション、親しみやすい雰囲気づくりを心掛けていきたいです。長期的には、以前から興味のあった産業保健分野にも関わっていけたら良いですね。
2022年10月取材 ※取材時4回生
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