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消費者トラブルの“痛み”を直感的に訴える!心理学の学びを活かしたステッカーが完成

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特集

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2025.2.4

消費者トラブルの“痛み”を直感的に訴える!心理学の学びを活かしたステッカーが完成

“巧妙な手口に惑わされ、焦って支払わないでほしい—”。そんな願いを込め、心理学部心理学科の学生たちが消費者トラブルに関する啓発ステッカーを制作しました。

阪神・淡路大震災から30年を迎えた2025年1月17日、HAT神戸のなぎさ公園で行われた「ひょうご安全の日のつどい・交流ひろば」でこのステッカーを配布した学生たち。防災意識と消費者被害防止を呼びかけた彼女たちの活動の様子をレポートします!

「心理学×社会貢献」プロジェクト

このプロジェクトは心理学科の3回生が、兵庫県立消費生活総合センターやNPO法人C・キッズ・ネットワークと連携し、「心理学研究総合演習」の一環として行ったものです。学生たちは消費者心理や詐欺手口について学び、その知識を社会貢献に結びつける形で活動を展開しました。

完成したステッカーのキャッチコピーは、「焦るPay(支払い)が思わぬPain(痛み)に すぐに188にかけよう」。ネットショッピング詐欺や悪質商法はもちろんのこと、トラブルを避けるため、支払いの前によく確認するとともに消費者ホットライン「188(いやや)」の認知度向上を目的としています。

阪神・淡路大震災30年目の想い

2025年は阪神・淡路大震災から30年という節目の年。震災を直接経験していない世代の学生たちですが、被災した家族や地域の方の話を聞き、その教訓を受け継いできました。

今回は消費者被害防止とともに防災意識も高めようと、非常用目隠しポンチョやジッパーバッグなどの防災グッズに啓発ステッカーを貼って配布することに。学生たちは消費生活総合センター職員の方々と協力し、多くの来場者にステッカーが訴える意義と防災意識の重要性を伝えていました。

悪質商法の心理トリックにだまされないで

指導にあたった心理学部の秋山学教授は、「ショッピング詐欺や悪質商法は『残りわずか』『期間限定』などの手法で、消費者に焦りや切迫感を与え、冷静な判断を阻害します」と解説。

昨今、幅広い年齢層がインターネットショッピングを利用するようになったことや、成人年齢が18歳に引き下げられたこともあり、消費者被害は一層身近なものになりました。

例えば、『今だけこの価格!』という格安商品を購入し、代金を支払っても商品が届かないことや、1回限りの購入のつもりが自動的に定期購入になっているなど、巧妙な手口は多岐に渡ります。被害にあった消費者は金銭的にも心理的にも辛い思いをすることになってしまいます。

ステッカー制作の舞台裏

そんな消費者を守るべく、焦燥感にかられた支払いを思いとどまらせてくれるこのステッカー。制作開始から3カ月間、学生たちは試行錯誤を繰り返したと言います。

これまでの学びを総括した結果、
①若者世代だけでなく、広い世代に刺さる言葉
②「クリックして支払う」行動を止める
③キーワードは“焦り”
④相談窓口「188」の認知度アップ
これら4点をポイントに、短くキャッチーな表現を模索し完成したのが「焦るPay(支払い)が思わぬPain(痛み)に すぐに188にかけよう」です。

デザイン、キャチコピーの提案の様子

プロジェクトメンバーのAさんは、「商品が届かないことや精神的な痛みを“直感的”に想起させる言葉やエフェクトを使ったり、黄・黒・赤といった警告を呼び起こす色を採用したり、細部にまでこだわりました。」と説明。

pain(痛み)にはヒビ割れたようなエフェクトが!

秋山教授とともに学生たちをサポートしてきた同学部の佐伯恵里奈准教授は、「彼女たちの閃きや試行錯誤を見守ってきましたが、視覚的にも響きにもインパクトのあるステッカーに仕上がったと思います。学びと実践が結びついた場面が多く見られ、学生たちにとって貴重な経験になりました。」と語ります。

学んだ心理学が社会で活きる瞬間

学んだ消費者心理を活かし、消費者を守るという実践的なこのプロジェクトを通じて、他人の視点を想像する力を養うことができたと話すAさんは、心理カウンセラーだけではなく、幅広い分野において心理学を活かすことができる可能性を実感しているとのこと。就職活動が始まりますが、「いろいろな場面で強みになる心理学を学んで良かったです。」と笑顔を見せてくれました。

Aさん

Yさんは、「心理学科の学生らしく、言葉の伝え方やデザインを工夫した啓発活動ができ、とても充実感が得られました。」と振り返り、今後も積極的に社会課題に関わりたいと語りました。

写真左からYさん、Uさん

Uさんはこの活動を通じて、今までより「言葉の伝え方」に興味を持つようになったと言います。「学科の課題や今回のプロジェクトの発表や制作に取り組んできたことで、臨機応変に言葉を使うことができるようになりました。」と話してくれました。

ステッカーで未来を守る

完成したステッカーは、これからも県消費生活総合センターの事業において防災用品や文具などに貼られ、幅広く消費者被害防止の啓発に活用される予定です。

心理学の学びを社会貢献につなげた今回のプロジェクトは、学生たちの成長と同時に、地域社会に希望と安心をもたらす一歩となりました。

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