特集
13
2023.7.2
文学部史学科の学生たちが神戸市西区にある「金棒池古墳」を発掘調査すると聞き、取材を行いました!6世紀というはるか昔につくられた古墳の全容に迫ろうと奮闘した様子をレポートします。
「金棒池古墳」は、神戸市神出町の東にある、雄岡山(おっこさん)と雌岡山(めっこさん)間に位置する金棒池の中にあります。一説によればあの弁慶が通りかかり、形の良い雄岡山と雌岡山を金棒で持ち上げて持って帰ろうとしたことに由来したと言われているそう。
そんな金棒池の中央にある小山が「金棒池古墳」。約30mの大きさで、周辺から出土した土器などから6世紀頃につくられたものと考えられています。
6世紀は、古墳時代の終わりが見え始めた節目の時代。これまで権力の象徴だった古墳に代わって、寺院の建立が新たなステータスとなりつつありました。そんな中で築かれた金棒池古墳は、まさに「神戸市最後の古墳」ともいえる存在かもしれません。
この古墳の全容を明らかにすべく発掘調査に乗り出したのが、文学部史学科の齋藤瑞穂准教授!
神戸市が地域や社会課題の解決につながる研究を支援のために導入している「アーバンイノベーション神戸」の助成金を受け、学生たちと一緒にドローンを使った本格的な測量も含めた発掘調査に着手したのです。
調査の現場となる金棒池古墳は文字通り池の中にありますが、冬の時期だけは水位が下がって地面が露出するという場所にあるため、2月初旬に10日間連続で発掘調査を実施することになったそう。土を掘り返し、どこまで古墳があったのか、土や砂の層をよく調べていきます。
冷たい北風が吹きつけ、時折粉雪が舞うような現場でしたが、齋藤先生をはじめ誰も手を止めることなく、懸命に作業を続ける姿が印象的でした。
考古学の面白さは、「土」や「モノ」から時代を読み解くところ。書物が少ない時代の歴史は発掘によって解明されてきました。齋藤先生の研究領域はまさにその最前線。「歴史を自分の手で書き換える可能性がある。このワクワクはたまりません。」と語ってくれました。
自分の手や目で歴史を体感できる発掘は考古学の醍醐味。神戸女子大学は女子大学では特に珍しい、発掘作業ができる数少ない大学のひとつです。
少しずつ掘っていくと、色が異なる土や砂の層が見えてきました!層をじっくり観察すると、一度掘って埋められたものなのか、自然に堆積したのか判断でき、そこから古墳の大きさや深さなどが分かるそうです。一度掘り起こした場所は元には戻りませんから、知識に基づいた慎重な判断が求められます。
参加した史学科3回生のKさんに、『やり直しの効かない作業に不安が大きいのでは?』と伺ったところ、「とても楽しいです!」と満面の笑みで答えてくれました。普段は大学の講義や論文から知識を吸収していますが、それらがこの発掘現場で活かせることを実感したと言います。
経験豊富な齋藤先生の背中を見ながら、実践的な学びが得られた貴重な機会。「将来は埋蔵文化財にかかわるような特に発掘に関連した仕事に就きたいです」と夢を語ってくれました。
「金棒池古墳」の発掘調査は、2025年度も継続予定。先生や学生たちの作業により、これからも一歩ずつ、歴史の解明が進んでいくことでしょう。そしてこの研究が、歴史を愛する新たな研究者を生み出すきっかけになっていくことを、強く期待したいと思います!
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