保護者の方にもおすすめ
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2023.5.10
みなさん、朝ごはんはしっかり食べていますか?
ついつい忙しくて適当に済ませたり、抜いてしまったり……。
勉強も仕事も、身体と脳が健康的でないと、せっかく頑張っているのに効率が悪くなってしまいます。
さまざまなアスリートの栄養指導を行い、身体づくりとコンディショニングを支える、健康福祉学部 健康スポーツ栄養学科の坂元 美子先生に、朝ごはんやコンディションを整えることの大切さについて、お話を聞いてきました。
コンビニなどで揃えられるオススメの朝ごはんや、勉強や仕事の合間に食べるといいもの、集中したい時にオススメな手軽な運動などもお話しいただきましたので、ぜひチェックしてください!
スポーツ選手は練習や試合を行う前、かならずウォーミングアップをして、身体や筋肉をほぐしたり、血流をよくしたりしてから、練習や試合にのぞみます。
それは、コンディションが整っていないと、100%の力を発揮しようとしてもできないからです。ウォーミングアップ無しに全力を出せないのは、スポーツ選手だけでなく、勉強をがんばる受験生たちも、仕事に向き合う社会人たちも、みんないっしょです。
勉強も仕事も、効率的に行うにはウォーミングアップが必要です。
とは言っても、身体を動かす必要は別にありません。「朝ごはん」が、身体と脳のウォーミングアップになるのです。
朝ごはんを食べると、身体と脳が動き出す
起きてすぐは、1日の中で最も血流が悪く、身体も脳も働きが悪い状態です。
朝ごはんを食べると、消化するために内臓が働き始め、血流が身体の中心に集まっていきます。
そして、吸収された栄養素を全身へ送り届けるために、身体の中心から末端まで血流が良くなっていき、コンディションが整っていきます。
朝ごはんを食べるのは、「栄養を取る」というのはもちろんですが、「身体と脳のウォーミングアップ」という面でも、非常に効果的です。
脳をしっかり働かせるには、炭水化物をとろう
勉強や仕事を行う時は、脳にしっかりとエネルギーを与えることが大切です。脳の主なエネルギー源は「ブドウ糖」で、集中力を維持するには血糖値を上げることが大切です。ブドウ糖は、ご飯などの炭水化物から摂取できます。
砂糖からも摂取できますが、血糖値が急激に上がりすぎてしまい、その分下がるのも早くて維持できず、肝心な時に頭が働かなくなってしまいます。しかし、炭水化物であれば、血糖値を徐々にあげて維持させることが可能です。
たんぱく質で体温を上げよう
人の体温は朝が一番低く、夕方にかけて高くなっていく仕組みになっています。体温が低い状態は血流の巡りが悪く、判断力が落ちたままなので、朝にしっかり体温を上げることが大切です。
たんぱく質を食べることで体温を高める働きがあるので、朝ごはんに炭水化物と共に摂取することで、脳も身体も良いコンディションに整っていきます。
「バランスよく」が前提だけど、まずはできることから
栄養はバランスよく取ることが大切なので、「これを食べていればOK」というものがあるわけではありません。とは言っても、急に食生活を変えるのは難しいものです。
まずは、朝ごはんをいつも抜いている人は朝ごはんを食べること。適当にすましている方は、炭水化物とたんぱく質を意識してしっかり摂取すること。少しずつでもいいので、できることから始めていきましょう。手軽にトライできるように、コンビニなどでもそろえやすい朝ごはんにおすすめな食べ物をご紹介します。
重ねてになりますが、単品だけでは栄養バランスがとりにくく、せっかく食べても栄養を効率よく体内で利用することができません。「これだけ食べればOK」というわけではありませんので、ご注意ください。
納豆巻き
効率的に炭水化物をとるには、パンよりご飯がおススメです。ご飯の方が消化・吸収がゆっくりで、血糖値を維持しやすいためです。
納豆巻きに含まれている大豆は、植物性たんぱく質が豊富に含まれており、手軽に炭水化物とたんぱく質の両方を摂取できます。さらに、納豆にはエネルギーを作るために必要なビタミンや身体づくりに必要なカルシウム・マグネシウムといったミネラルが豊富です。
ヨーグルト+α
ヨーグルトは非常に栄養バランスが優れており、動物性たんぱく質と、脳のエネルギー源となる糖質、腸内環境を整えてくれる善玉菌などが含まれています。ドライフルーツやグラノーラなど、食物繊維、ミネラル類、ビタミン類を美味しく組み合わせられるものも多く、サッパリしているので朝食にピッタリです。
集中力が落ちてきた時にオススメの食べ物
勉強や仕事をしている時、ちょこっとつまめる食べ物があれば、モチベーションを保ちやすいですよね。「ここまで進めたら、これを食べよう」と、ご褒美的な食べ方をしている方もいるかと思います。
そんな勉強や仕事のお供としてオススメな食べ物を紹介します。当たり前ですが、食べすぎはNGです。
グミ
疲れてくると甘いものが欲しくなるのは、血糖値が下がってきているからです。甘いものを食べると元気になるのですが、チョコレートなどは要注意。血糖値が一気にあがり、下がるのも早いので集中が途切れたり、眠くなってしまったりします。
甘いものであれば、グミがおすすめです。砂糖は入っていますが、コラーゲンで吸収が緩やかになりますので、血糖値を維持でき集中も保つことができます。
ナッツ類
ナッツ類も血糖値の上昇が緩やかなので、食べても集中力を持続させやすいです。血流をよくするビタミンEも多く、脳の働きをよくしてくれるでしょう。さらに、しっかり噛む必要があるため、脳への刺激につながり、眠気をさましたり、より集中力を高めたりすることが期待できます。
ちょっとした合間でもできるオススメの運動
食べ物以外にも運動は健康づくりに非常に重要ですが、勉強や仕事で忙しい方がジョギングなどを行うのは大変かと思います。
ちょっとした合間でもできる、オススメの運動やストレッチをご紹介します。集中したい時、眠くなってきた時などにトライしてみてください。
眠気を飛ばす“隠れ筋トレ”
人には「交感神経」と「副交感神経」という自律神経があり、このバランスで「集中モード」「リラックスモード」が決まります。
眠くなっている時は副交感神経にバランスが傾いている状態です。そんな時は、少し筋肉に刺激を与えて交感神経を刺激すると、「集中モード」に切り替えられます。
坂元先生がオススメする、座りながらできる“隠れ筋トレ”
背もたれにもたれず、足をまっすぐ真横にあげて、腹筋に力を入れてキープ。思った以上にしんどいと思います(笑) 何度か繰り返すことで、眠気もスッキリしますよ。
あくびが出てきた時のストレッチ
あくびがよく出るときは、脳に酸素が不足していることが多いです。
首や肩回りの緊張をほぐすことで血流がよくなり、酸素が脳へ行き届きやすくなります。
肩へ両手を当てて、ぐるぐると肩を回してみてください。肩や首回りの血流がよくなり、酸素が十分脳へと届くようになります。時々このようなストレッチで首回りの血流を良くしてあげると、眠気防止になりますし、気分転換にもなります。
それほど身体を動かさない行為が生活の中心にある方にとって、「身体作り」や「栄養」は、自分にあまり影響しないとお考えかもしれません。しかし、身体の状態が脳や気持ちに与える影響はとても大きいものです。健康的な身体を維持することは、勉強や仕事でよい結果を生み出すためにも、重要な要素のひとつです。
私が所属する健康スポーツ栄養学科では、決して「スポーツを行う人」だけのための知識・技術を学ぶわけではありません。栄養学・食品学・調理学・衛生学・医学など幅広い分野をベースに、子どもから高齢者まで、「食と栄養」を通して健康的な身体と生活をつくるための技術・知識を学びます。
それは、自分自身の健康を守り、豊かな人生をつくっていくための方法を知ることでもあります。「食と栄養」は、あらゆる人々に関係する「生きることの基本」です。スポーツ業界で活躍したい人はもちろん、それ以外の分野をめざす方にとっても、有意義な時間を過ごしていただけると思っています。
プロフィール
健康福祉学部 健康スポーツ栄養学科
坂元 美子先生
人間総合科学大学大学院 心身健康科学修士課程修了。神戸女子大学 家政学部卒業後、兵庫医科大学の研究職を経てオリックスブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)の専属管理栄養士として活躍。在籍時には球団の優勝を経験。また、指導した選手の中にはメジャーリーグに移籍し、活躍した人も。2011年より、本学の健康福祉学部 健康スポーツ栄養学科の准教授に。学生の指導と共に数多くのスポーツチームの栄養指導に携わる。
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