特集
1658
2023.10.5
風に舞うバトン、その美しさとリズム感がまるで芸術のようなバトントワリング競技。健康スポーツ栄養学科1回生のKさんは、神戸女子大学で学びながら、バトントワリングで世界のトップを目指す学生アスリートです。新型コロナウイルスによる様々な制限を乗り越えてトップアスリートに成長した彼女の、神戸女子大学での新たな挑戦に迫ります。
Kさんが小学生の頃、お姉さんのお友達の体操教室に体験に行ったことがバトントワリングとの出会いでした。 バトンをクルクルと回し、天井に届くかと思うほど高く宙に放り投げる演技を見たKさんは、その迫力と美しさを兼ね備えた競技に一目惚れ。持ち前の好奇心で「同じようにできるかな」とさっそく挑戦してみましたが、思わぬ壁にぶつかることになりました。思った通りの動きがなかなかできない難しさに加え、もっとも大変だったのは鉄でできているバトン。思った以上に重く、うまくキャッチできなかった時の痛みは想像以上!しかし、技が成功したときの体験はかけがえのないものでした。
足の下や背後でバトンをキャッチしたり、少しずつ難しい技ができるようになってくるとすっかりバトントワリングの虜に。練習を重ね、大会に出場することになった時には、もちろんジュニア世代でも大会用のメイクをして、競技用の衣装を身に付けて臨みます。初めての大会で技を成功させたときの達成感は、今も記憶に残る貴重な経験だそうです。
めきめきと上達するKさんはあっという間に国内のトップ選手へと登り詰めます。しかし、2019年、Kさんが高校1年生のときに世界中が新型コロナウイルスの脅威に襲われてしまいました。他の競技やイベントと同じように、バトントワリング競技も大会の延期や中止に追い込まれます。世界大会に出場する日本代表を決める国内選考会も例外なく延期に。1年後にようやく国内選考会が開催され、結果を残し日本代表に内定したものの、目指していた世界選手権はなんとさらに2年延期という結果に。
その間、競技環境が制限され、なかなか十分な練習に取り組めないという先行きが見えない日々が続きました。そんな中、Kさんが練習場所として選んだのはなんと公園!「他のことをしていても、なんとなくバトンを回したいなという気持ちが湧いてきて。バトンを触っていたいという気持ちが我慢できませんでした。コロナ禍を乗り越えられたのは中学・高校の時のバトン部の同期や先輩・後輩の存在があったからこそ。あの時期は確かに大変だったけどチームのみんなに会えなくても、連絡を取り合い、支え合って努力していた日々はすごく充実感がありました。」と思い出を笑顔で語ってくれました。
コロナ禍も落ち着き始めた高校生3年生のときに、2年間延期されていた「第35回世界バトントワリング選手権大会」がイタリアのトリノで開催。見事日本代表選手として出場し、女子ジュニア部門で世界第2位に輝きました!長い我慢を乗り越え、輝かしい成績で高校生活とジュニア世代を終えた彼女が、次の挑戦として選んだのが神戸女子大学でした。
お姉さんが楽しそうに大学に通っていたこともあり、まずは「大学のオープンキャンパス」に行ってみたい、と感じた高校生時代のKさん。どの大学に行ってみようかと色々なことを調べているうちに、アスリートとして健康スポーツ栄養学科の学びに直感的な興味が湧いたそう。
「食べることが好きなので食に関連した学びができる学科を探していました。オープンキャンパスに行くと、そこで学生スタッフの先輩方が体組成の測定をしてくださったり、さまざまな先生や先輩の研究に触れることができて、楽しい雰囲気も感じましたし、ここで学んでみたいことがたくさんあると思いました。」
「実際に入学して勉強していると、体づくりに栄養がすごく重要だとわかりました。授業では化学式や数字がたくさん出てきて、思った以上に理系の勉強が多いことには少し驚きましたが、丁寧に教えてくださるので、友人と一緒に復習したりして、楽しみながら学べています。クラス単位での行動が多いので、友人が作りやすいことが特徴。新しい仲間と一緒に勉強することって楽しいなと思います。」と笑顔で話してくれたKさんは、健康づくりや競技力を上げるためにどのような食事が大切か日々新しい知識が刺激になっているそうです。
健康スポーツ栄養学科は、スポーツ経験者の仲間たちが多く、笑顔を絶やさず、いつも楽しい雰囲気に包まれていると教えてくれました。日本代表に輝く実力を持つアスリートであるKさんも、入学前は競技力を向上させるための栄養に関する知識には自信がそれほどなかったと振り返ります。
「入学前は『体づくりには絶対タンパク質!』って思っていたのですが、炭水化物を摂ることで得られるメリットなど授業でどんどん新しいことを学んでいるうちに視点が変わってきたことを感じますね。日々の食事が身体に与える影響や、競技パフォーマンスへの影響を考えるようになりました。」
そんなKさんが自身2度目の世界大会に出場したのは8月、イングランドリヴァプールで開催された世界大会。初めてシニア女子として出場し、2種目で世界第3位に輝きました!まさに日本を代表するバトントワラーのKさんの将来の目標は「様々なアスリートを支援する」こと。競技者としての経験を持ちながら、アスリートを支えるような職業に就くことを思い描き、健康スポーツ栄養学科で学んでいます。
最後に、将来の目標ではなく「近い目標」について尋ねると、「世界一!」という答えが!夢に向かって努力を続けるKさんは、今回の取材中で最も輝く笑顔を見せてくれました。
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