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【先生、教えてください!】「やりたい」を実現するために必要なこと。須磨離宮公園との連携プロジェクト

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2023.7.10

【先生、教えてください!】「やりたい」を実現するために必要なこと。須磨離宮公園との連携プロジェクト

「やりたいこと」を社会の中で実現するには、色んな壁があります。それは、テーマやコンセプトの設定、課題・問題・アイデアの発見、仲間づくり、スケジューリング、予算管理……。

「やりたいこと」によって越えなければならない壁はさまざまですが、共通していることがあります。それは、実際に自分で考え、問題を発見し、解決に向けて行動しなければ、壁を乗り越える力が育まれないということです。

神戸女子大学では、シミュレーションだけで終わらない「実践」を重視しています。

たとえば、家政学科の大森先生のゼミでは、須磨キャンパスのすぐそばにある「須磨離宮公園」と連携し、バラやハチミツの生産に伴う廃棄物の再活用について、学生たちが主体的に考え、実行する取り組みが行われています。

大森先生に取り組みの概要と、「自分で考えて行動すること」の大切さについてお伺いしました。

ゼミの学生が毎年、須磨離宮公園と連携したプロジェクトを実施

私のゼミでは卒業研究のほかにも、有志の学生たちを毎年集めて「自分で問題を考え、解決に向けて行動する」プロジェクトに取り組んでもらっています。参加学生を有志にしているのは、「主体性」を育むことが目標のひとつだからです。

プロジェクトの枠が「自分で問題を考え、解決に向けて行動する」だけだと広すぎるので、「須磨離宮公園との連携」や「廃棄物などの再活用」をアイデアのきっかけとして設けています。

本学とキャンパス・パーク連携を結ぶ須磨離宮公園

プロジェクトの主体は学生なので、基本的には学生が自分たちでプランを考え、行動して実現をめざします。

しかし、学生たちだけでは乗り越えることが難しい「壁」があるのも事実なので、教員として学生の主体性を損なわないように注意しつつ、アイデアの「種」となる情報の提供や、サポートやアドバイス、外部との連携などを行いながら、プロジェクトを進めています。

連携先の須磨離宮公園は、豊かな自然が広がる大型の都市型公園で、バラなどの多様な植物が育まれているほか「bee kobeプロジェクト」という養蜂事業が行われています。「bee kobeプロジェクト」は養蜂やハチミツ採集を通じて、地域住民や子どもたちの自然とのふれあいを促進する取り組みです。

他にも、須磨離宮公園と連携して行った取り組みをあげると「みつろうラッププロジェクト」があります。

「みつろう」を通じて、「持続可能な社会に必要なこと」を考えてもらうプロジェクト

ハチミツはミツバチの巣を絞ったり溶かしたりして作られ、その際に「蜜蝋(みつろう)」と呼ばれるワックスが採取できます。

ですが、蜜蝋はあくまで「副産物」。そのまま廃棄されることも多々あります。その問題について学生たちに投げかけたところ、蜜蝋を食品保存のために使われるラップに活用できることを学生たちが調べてきて、「みつろうラッププロジェクト」がはじまりました。

「みつろうラップ」は蜜蝋を布に染み込ませてつくった、繰り返し使えて自然にも還る天然素材のラップです。須磨離宮公園の蜜蝋を活用したみつろうラップづくり・販売と、公園のお客さんに「つくってもらう」ワークショップを開催しました。

ものづくりや販売を行うだけでなく、ワークショップを通して、ミツバチと環境との関係性、ものづくりによる廃棄物の問題と活用方法、マイクロプラスチック問題などを人々に伝え、「持続可能な社会には何が必要か」を考えてもらうことをゴールに取り組みました。

現在は「須磨離宮公園のバラ」を活用したプロジェクトが進行しており、みつろうラップ同様、学生が主体となって実現に向けて行動しています。

「切り戻し」で捨ててしまうバラを新たに活用するために

バラを次のシーズンにまた健康的に咲かせるには、適切な時期に咲いている花を一旦切り落とす「切り戻し」が必要となります。切り落とした花は捨ててしまうのですが、その中には傷んだ花だけでなく、綺麗な状態の花もふくまれています。

須磨離宮公園の切り戻しで廃棄するバラの花を調査したところ、おおよそ6割の花びらが綺麗な状態を保っていました。切り戻しはバラの健康を守るために必要ですが、せっかく綺麗に咲いたバラの花をそのまま捨てるのはもったいないですよね。

この問題について「どうしたらいいだろう」と学生たちに投げかけ、さまざまな切り口から解決方法をいっしょに考えています。

たとえば、廃棄されるバラからお香を作ったり、美容や食用に使える「ローズウォーター」を作ってみたり……。どちらも「作り方」は分かったのですが、「無農薬でないといけない」という壁に今ぶつかっています。

バラの無農薬栽培は非常にハードルが高く、農薬を使う栽培が一般的で、須磨離宮公園も農薬を使用しています。そのため、プロジェクトメンバー内の数名が現在、農薬を使って栽培されたバラから、農薬を洗浄・除去する方法を研究するなど、まさに問題を解決する力を養っています。

シミュレーションでは得られない学びから、「やりたいこと」を実現するために必要な力を身につける

プロジェクトはすべて、メンバーが個々に進めるのではなく、チームになって連携しながら取り組んでいます。

「バラの活用」で現在取り組んでいることの例として、「農薬除去の研究」をあげましたが、他にも「ローズウォーターを使ったランチメニューづくり」や、「バラを活用したスキンケア商品の開発」など、それぞれの興味や得意分野に応じたさまざまな取り組みを行っています。また、「つくったモノをどのように社会に届けるか」という「出口」まで考え、行動しています。

どうすれば人々に知ってもらえるのか、
どうすれば人々に使ってもらえるのか、
「お金」はどうすればいいのか……。

シミュレーションだけで終わらせずに、「マーケティング」、「広報活動」、「資金調達」、「プレゼンテーション」といった「リアル」と向き合いながら実現をめざしています。

これまで学生たちがチャレンジしたプロジェクトの中には、予算などのリアルな事情で実現できなかったものもありました。しかし、その経験は決して無駄にはなりません。自分たちで問題を考え、仲間と頭を悩ませながら行動して得られた力は、どんな仕事に就いても役立つからです。

「自分で問題の解決に向けて行動した経験」をたくさんすることが、社会の中で自分らしく生きていくための基礎力となります。神戸女子大学には、私のゼミの他にもそんな学びがたくさんあります。

ぜひいっしょに、リアルと向き合いながら、「やりたいこと」の実現にチャレンジしましょう!

プロフィール
家政学部 家政学科
大森 正子先生

色彩学と人間工学を専門とし、授業やゼミではこれらの専門分野と「社会との関わり」や「環境負荷の軽減」などのテーマを交えた学びを展開。企業と連携したユニフォームの開発や、須磨離宮公園のバラやはちみつを活用したプロジェクトなど、学生たちが実践を通して主体的に学べる場を提供している。

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